仕事と大人


インカレ2日目。昨日なんの問題もなかったので今日のリハは学生スタッフに完全丸投げ。駅前のスーパーで買い物したりして、リハの終わった頃に重役出勤(←死語か?)ってかやや遅刻。


今日の仕事はインカレのみなので、じっくりと観覧できた。と言いつつも、進行がうまくいってるかそわそわと気になり完全な観客気分というわけにもいかないのだが。見ていると、昨日に比べてスタッフの反射神経が格段に速くなっているのが面白い。トラブった時にパッと動いたり無線で声かけあったり、なんというか、付け焼き刃ながら「現場の人間」感が出てきた。


こういうのを観てると、チームの一員として仕事を分担し、役割を与えられ、責任を持たされると、人はどんどん「仕事」ができるようになっていくのだなあ、という当たり前の事を再認識させられる。


学生だろうと社会人だろうと、メカニズムは全く同じだ。命令や義務によって動くだけなら労働は拷問だが、目的を理解してチームのために自ら「歯車」となる時、仕事は団体競技スポーツのような「遊び」になる。メンバー全員が目いっぱい「遊び」きった時、その仕事の能率は最高となるのではないか。


そんな事を考えながら観ていたら不愉快な場面にぶつかった。ある演奏者の、演奏後の質疑応答である。詳細は省くが、演奏者に対して発言上は質問の形をとりつつ、上から目線の教えさとすような口調で延々と発言を続ける1人の質問者の態度に、聞いていてムカムカと腹がたってきた。


だからといって当方が立ち上がって反論したりするような場ではないことぐらいわきまえているので黙っていたが、つい「だったらてめえが演ってみろよ」と下品なひとりごとが口からこぼれてしまったぐらいで(あ、黙ってなかったか)リングの外からの見当違いな「評論」によって、闘っている人間の意欲に冷水を浴びせるこの手のセンセイこそは、当方のいちばん嫌いな人種である。


あんまり腹がたったので以下100行ぐらい何がダメなのか書いてみたけれど馬鹿馬鹿しいので削除してしまいました(笑)まあ言っておきたいのは、作品の良し悪しといった議論でなく、好き嫌いの判断ですらなく、単なる大前提みたいなところでネチネチ空疎な持論を唱えてるこういう大人は、反面教師としての役割を終えたらとっとと消えてほしいという事ぐらいです(←なんだか友人の某・渋谷K一郎みたいな口ぶりになってきた)


えーと何の話だったかな?そうそう、そんなわけでライヴが終わり、メディアホールで撤収&片付け作業。ようやく全て終わり、演奏者の引き払った楽屋にスタッフを集め、このために遅刻してまで買っておいた(笑)発泡ワインで軽く乾杯。反省会は大事だからね。たとえまだ午後の日の高い時間であろうとも…


その後はさらに別のコンサートやら100人以上参加の超ド級打上げ…じゃない、懇親会があったりして、いや今日も濃い1日でした。最後はまたアリマ、そしてこれまたずいぶん久々な三輪眞弘さん(2人とも当方にとって実はかつてのバンド仲間という共通点あり)と、よもやま話しながら電車で帰宅。

VAC FINAL2007

WONO2007-12-14


オーバーワークでオーバーフローでオーバードライヴな今週のあれこれもいよいよ佳境に…。


まずは朝7時台に家を出て、今日から始まるインカレのパフォーマンス会場である多摩美メディアホールに向かう。設営自体は学生たちが着々とこなしているので、当方はディティールをチェックして結線を軽く変更したり、軽くアドバイスしたりする程度。実際のPAオペは、もはや我が研究室のサウンドシステムを熟知しつつある学生のセキくんに任せっぱなし。リハーサルが始まってしばらくしたあたりで、2限の授業のため現場を離れる。


その科目『映像メディア論』、本日は今年の最終回ということで学年末試験だ。試験と言っても当方の行う形式は、これまでの授業で扱った映像を複数見せ、それらに関して論述させるというもの。何を資料にしようと、教室外のどこで書こうと完全に自由。という、数年来の経験から編み出した一見めちゃ自由なようで案外ハードな形式である。こちとら毎回チマチマ出席とる根気はないが、毎回熱心に授業を聞いていた学生ならハハァあの話だなと気づいてくれるようなネタ…いや主題を問いにしたつもり。


で、すかさずメディアホールに戻り、残りのリハにつきあう。オブザーバーというかいざという時のトラブル・シューターのつもりで待機していたのだが、意外なほど何のトラブルも起こらず一安心。あとは本番を待つばかりとなる。


だがその本番は、我が情報デザイン学科VACクラスの最終ミッション、コードネーム“VAC FINAL”として行われる映像パフォーマンス公演『T-TALK』とちょうど同じ時間の開催になってしまった。立場上、当方は当然その公演の方を観に行かなければならない。


この公演は要するに「個人の映像作品を制作する」のと「その展示を集団で実施する」という両方をいかに矛盾なく融合させるかというお題で、学生たちが自由に企画する学期末課題。スタティックなインスタレーションとダイナミックなパフォーマンスの中間の様々な形式で、これまでも毎年度の学生たちは様々な手法にトライし続けてきた。


こちらの目標としては、それぞれの個人に1年間の総決算となる映像を制作してもらいたいというカリキュラム上の意図と、同時に、最後なんだからパーッと皆でイベントやって盛り上がっちまえよ!というグルーヴ原理主義的なノリの両方を無理やり詰め込んだ、恒例のミッションなのである。


今年は、大スクリーンによる個人作品の上映と、マルチモニターを使ったグループ映像が交互に展開されるという、やや映像インスタレーション寄りのヒネッた構成で始まりながらも、進行につれて合間に挿入される生身のパフォーマンスの存在感が大きくなっていき、最後は全員が出演して場内を練り歩き、演じ、叫び、カオティックなクライマックスを迎えるという、なかなかにドラマティックな構成演出。


そんな内容もさることながら。このクラス、途中でいわゆる中だるみというか出席の減った時期などもあったり、実は個人的に問題や悩みを抱えた学生もいたりしたんだけど、最終ステージの本日、4月の開始時と同じ22人が再び集合して全員で公演を成し遂げてくれたってところに、何よりも一番じーんときてしまった。予定調和と笑わば笑え。色々あったけど最後は芸術の力に救われるってストーリー(まるでフェリーニ8 1/2』のラストだな)弱いのよ当方。


終演後は軽く講師陣からのコメント、そしてすかさず彼らは撤収作業に入る。当方は再びメディアホールに帰還。残りの演目を見届けてから、再びVAC側に戻って今度は打ち上げに乱入…という、マルチタスクというかてんやわんやな1日であった。


と言いつつも合間には、来校していた盟友アリマ(昨年の「インカレ」オーガナイザーでもある)と久々にゆっくり話もできたりして、いやに充実した1日でもあったのだが。盛り上がりすぎて帰路、危うく終電を逃しそうになったのだけは想定外だったけど…




写真は東京工芸大「[b] Laptop orchestra」
これまた「ラップトップバトル」以上のフィジカル・コンピューティング。ノートパソコンを殴ったりこすったり削ったりして音を出すというベンディング最右翼(本番の演奏、観たかったなー…)

ネ申キター!


昼、大学にかけつけて研究室機材をヘルプの学生たちに引き渡し、ホールまで運んでもらう。今日はWATUSIさんのライヴ いや特別講義。午後いっぱいかけて持ち込んだPA機材の設置とチューニングそしてミラーボールやムービングライトの吊り込みなど行い、御大の到着を待つ。


到着したWATUSIさんはもう爆笑しっぱなしで(大学っていうかこれライヴハウスじゃん笑とか大学なのにミラーボールって笑とか大学なのに楽屋があるのって笑とか以下略)


本番は70年代ディスコの話から始まり、映像素材を繰り出してコスり系DJのジャグリング、ハイファナの人力ブレイクビーツ技、ジェフ・ミルズの神業、ハードフロアのツマミストぶり、アンダーワールドのライヴ/レイヴ…とクラブシーンにおけるライヴ様態のあれこれを丁寧にレクチャー。


しかし何と言っても盛り上がったのは後半、CDJKAOSS PADを用いた「模範演奏」の時間。


神降臨とはこの事か!「スイッチを押す」「ツマミをひねる」それだけの事でも、グルーヴに乗りつつ直感的に次々操作していくその挙動、流れ、組み合わせが音楽的な「演奏」を出現させていくという事の意味を、聴衆全員が固唾を飲んで見つめながら納得した瞬間であった。まさしく「百聞は一見にしかず」。


そして最後はDJプレイ。教室が架空のクラブとなりテンションはいやが上にもヒートアップ。当方もバック・トゥ・バックで1曲いきなり割りこんでみたりして、照明操作しながら踊り狂ってしまいました。


そんな爆音の狂乱空間なのに学生は全員黙って机に座っているだけだったのがあまりにシュールな風景ではありました(笑)特にこれまでダンス心理の何たるかを研究し2回の架空ディスコ経営まで成功させたゼミ生に対しては、1年間なにを学んできたのかと(爆)全員単位取り消しィ!!!と絶叫しようかと(爆・以下略)


まぁ何というか、「はいここからは踊る時間ですから全員スタンダップして下さいー」とオフィシャルに指示されなければ自分のテンションだけで勝手に踊り出す事のできない「世代」なのかこれは?といささか気の毒にもなりましたが。後で打上げで聞いたら皆「いやー俺、机に座ったまま上半身ではノッてましたよ!」とか「テンションすげえアガりました!」とか口々に熱く語ってるの聞いて「だ・っ・た・ら・お・ど・れ・よ」ととてつもなく淋しい気持ちになりましたが(笑)まあ良いでしょう皆よろこんでくれたのは確かなようなので。


WATUSIさんも楽しんでくれたようで、打上げも最後まで参加して盛り上がっとりました。と言いつつ実はその後西麻布のスタジオ入りということで、逆に言えば録音仕事の日なのにこんなおかしなイベント…じゃなかったアカデミックな講義を行っていただきまして、感謝の念にたえません。次はおそらくまたどこかのクラブかイベント会場でお会いする事と思いますが。この場を借りて、どうもありがとうございました!

バトる


昨夜から今朝にかけては極秘プロジェクトの音響関連企画書制作。ぎりぎり出かける直前に完成させ、各方面に送付してから大学へ。学校では音響構成論ゼミ今年の最終回。コンサート制作会議が続いているが、もはや当方の出番ほぼなし。会場の手配とか事務的なことぐらい。


その後、いつもより早く大学を後にして六本木へ向かう。例によって大江戸線の異常な地下深さに嘆息しつつ、大量の通勤通学客の皆さんたちと一緒に延々と長大なエスカレータで下り続ける気分はどこか黄泉の国に降りていくそれのような(大げさ)


さて本日の『ラップトップバトル』、会場はスーパーデラックス。MCの女性が終始「それじゃバトッちゃいますかーッ!?」と煽っていたのが面白かった。「バトる」って動詞だったのか…


当方は、かなりキャラの立った他の2名の審査員(どちらも在京外国人)と共に審査にあたりました。観客もかなり国籍バラバラだったので、彼らが英語、当方が日本語で審査結果を発表する役割となった。


全体に音楽的には非常に洗練されていたし、ライヴではなかなか難しいミックス・バランスもきちんとまとまった人が多かったように思う。大学と違って現場では細かい講評などしなかったので「こうすればもっと良かったんじゃね?」的に思ったことを以下にメモしておこう。次に出演する方へのヒントという意味で。

*海外の映像などを観て「超高速でキーやボタンを押しまくるヒップホップDJ並みのジャグリング技」が見られるかと勝手に思っていたが、あまりそういったテクは見られず、シーケンスを走らせながらボリュームとエフェクトをいじる程度のダブ的スタイルが大半だった。バトルという意味では、もっと極端に馬鹿度の高い大技を観たかった。後ろ向きでタイピングするとか、肘や足でマウス操作するとかいった、音楽の本質と全く関係ないスキルを(笑)


*1曲が1アイディアで終わるプレイも多かった。3分という短い時間の中で次々と新しい技を繰り出してほしい。また1ラウンドに2曲プレイできるのだから、同じ曲調ではなくがらりと違うスタイルやアプローチでチャレンジした方が、幅広い音楽性をアピールできて印象が良い。


*演奏者がモニターを見つめすぎ。バトルなんだからもっと観客の方もみて「パフォーマー」としてアピールしてほしい。いっそアサインしたキーも操作も全部暗記しておき、ディスプレイ真っ暗にして全く見ずに演るぐらいの度胸を見せるとか…



*音楽的には意外なほど4つ打ちが多かった。固定したビートを利用しすぎ。ビートそれ自体にもっと変化があっても良かったのでは?


*これは一種の盲点かもしれないが、プレイが完璧すぎると「全てがプログラム済み」に見えてしまう。モタつき、ムラ、変な間とかあった方が逆に「ライヴで演ってる」感は出るので、それをプレイに意識的に取り込むのも面白いかも。


とまあ、後からこういうこと言うのは簡単ですが、演るのはさぞ大変だったことと思います。ただ結果的には最もアグレッシヴな「攻め」のプレイを見せつけてくれたプレイヤーが優勝した事からも、このイベントの性質はわかっていただけるかと。


もちろん音楽に勝ち負けを設けることじたい無意味なので、勝敗もこの企画もあくまで「遊び」ととらえて欲しいと思います。決して敗者が音楽的に「負けた」わけではない事は強調しておきたい。それぐらい、どの競技者も個性的で面白かったのです。自分にとっても良い刺激になりました。こんどラップトップでプレイする時の参考になったし(バトルする気は皆無ですが)

クラブっちゃってごめんなさい!

WONO2007-12-11



っていうのは数号で潰れた(そしてその後、原稿料不払いでトラブっちゃった・苦笑)雑誌『フロア』での、当方の連載タイトルなのですが。


とりあえず明後日こんな講義があります。

WATUSI from COLDFEET
特別講義「クラブにおけるライヴ感」


場所:多摩美術大学 レクチャー棟 Cホール
日時:2007年12月13日 16時30分 〜 18時


概要:J-POPからダンスフロアまで知り尽くした音楽業界の魔術師「WATUSI」が、DJプレイも交えながらグルーヴの魅力を語り尽くす90分間。今やコンサート以上に「ライヴな場所」となりつつあるクラブ空間の魅力が解き明かされる!


http://www.coldfeet.net


WATUSI
 ユニット「COLDFEET」としてCDおよびアナログ盤を国内外で多数リリース。またプロデューサー/アレンジャー/リミキサーとしても、中島美嘉、ケミストリー、安室奈美恵BoA、hiro、V6、m-flo岡村靖幸など多数の作品に参加。DJやミュージシャンから絶大な信頼を受け、音楽業界とクラブシーンをつなぐその精力的な活動は、まさに「音楽業界の裏番長」と呼ぶにふさわしい。2007年夏にはフロア仕様のニューアルバム『FEELING GOOD』を発売、アジア各国を含めた34本に及ぶクラブ・ツアーを敢行するなど、いま最も旬なアーティスト。


先日の大友良英さん特別講義の興奮もさめやらぬうちに、今度は講義室を完全ディスコ仕様にチューンナップし、WATUSI番長とダンスグルーヴの何たるかを極めようという企画。自分で言うのもどうかと思うが、狂ってます!旧態依然とした「大学」概念の更新をめざすこうした企画に「おもしれーじゃん!」とノッてくれるアナタ、学内だろうと学外からだろうともはやかまわない年末だ無礼講だイエイ、ぜひ参集して、このギグ盛り上げて下されーーーッ!!!!!そして最後はバックトゥバックか!?

凄いぞSONY!

WONO2007-12-10



あちこちで話題を呼んでいるSONY WALKMAN「MUSIC PIECES」ですが*1、ここで喧伝したいのはそれじゃなくて、このラジオCMの方です。




SONY WALKMAN 公式サイト
http://www.walkman.sony.co.jp/advertising/ad_walkman.html




なんと伊東篤宏/山川冬樹/澤井妙治(敬称略)という、失礼な言い方だけどこの手のメジャーなメディアに乗るってのが想像もつかないようなド変態アーティストたち(←最大の褒め言葉)がSONYのCMに出演してるっ!!!!!


さすがはSONY、お目が高い!……と、今日は手ばなしで賞賛。*2

*1:来年の『映像メディア論』講義で必ずや扱う事になりましょう。間違いなくカンヌにもノミネートされるよね。しかしタグラインが『MUSIC LIKE NO OTHER』ってのはいくら同じSONYだからってBRAVIA『COLOR LIKE NO OTHER』のまんまで、なんだかなあ

*2:後で気づいたけど、このCMって富士ゼロックスのCM『1人1音の演奏会』に発想が似てね?どっちが先だか知りませんが…

ラップトップ・バトル!


さていよいよ今週は怒濤のイベント(と打上げ)週間だ。


とりあえずはこれの審査員やらせていただきます。

12月12日 19時開場/20時開演
ラップトップ・バトル・トーキョー
http://laptopbattle.jp/tokyo/



かなり馬鹿度の高いイベントです(←ほめ言葉)
その加減は以下にアップされた各地の映像でもおわかりかと


http://www.youtube.com/results?search_query=laptop%20battle&search=Search&sa=X&oi=spell&resnum=0&spell=1


要するにアレですな、DJバトルのラップトップ版。キーやキーボードやツマミをこれでもかこれでもかこれでもか!と連打しまくるツマミンベース(造語)な芸風を競い合うという威勢の良いコンペティション。豪華賞品をゲットするのは誰か!?


まあ「コンピュータを演奏する」と言っても、人間が物理的に演じるという意味ではなくプログラムやアルゴリズム自体の面白さを観せる事であるべきだ…というプログラミング原理主義的な立場もありましょうが、当方は20年近く前にMacintosh Classic IIのライヴを始めた頃からフィジカルなプレイでいかに盛り上げるかばかり考えてきたふしがあるので(そのぶん音楽の中身がないとの噂あり・笑)実はかなり好きです。こういう発想。審査員に呼んでいただいて光栄の至りです。楽しみーーーーーッ!!!!


↓東京での前回の戦い
http://www.youtube.com/results?search_query=laptop+battle+TOKYO&search=Search