VAC FINAL2007

WONO2007-12-14


オーバーワークでオーバーフローでオーバードライヴな今週のあれこれもいよいよ佳境に…。


まずは朝7時台に家を出て、今日から始まるインカレのパフォーマンス会場である多摩美メディアホールに向かう。設営自体は学生たちが着々とこなしているので、当方はディティールをチェックして結線を軽く変更したり、軽くアドバイスしたりする程度。実際のPAオペは、もはや我が研究室のサウンドシステムを熟知しつつある学生のセキくんに任せっぱなし。リハーサルが始まってしばらくしたあたりで、2限の授業のため現場を離れる。


その科目『映像メディア論』、本日は今年の最終回ということで学年末試験だ。試験と言っても当方の行う形式は、これまでの授業で扱った映像を複数見せ、それらに関して論述させるというもの。何を資料にしようと、教室外のどこで書こうと完全に自由。という、数年来の経験から編み出した一見めちゃ自由なようで案外ハードな形式である。こちとら毎回チマチマ出席とる根気はないが、毎回熱心に授業を聞いていた学生ならハハァあの話だなと気づいてくれるようなネタ…いや主題を問いにしたつもり。


で、すかさずメディアホールに戻り、残りのリハにつきあう。オブザーバーというかいざという時のトラブル・シューターのつもりで待機していたのだが、意外なほど何のトラブルも起こらず一安心。あとは本番を待つばかりとなる。


だがその本番は、我が情報デザイン学科VACクラスの最終ミッション、コードネーム“VAC FINAL”として行われる映像パフォーマンス公演『T-TALK』とちょうど同じ時間の開催になってしまった。立場上、当方は当然その公演の方を観に行かなければならない。


この公演は要するに「個人の映像作品を制作する」のと「その展示を集団で実施する」という両方をいかに矛盾なく融合させるかというお題で、学生たちが自由に企画する学期末課題。スタティックなインスタレーションとダイナミックなパフォーマンスの中間の様々な形式で、これまでも毎年度の学生たちは様々な手法にトライし続けてきた。


こちらの目標としては、それぞれの個人に1年間の総決算となる映像を制作してもらいたいというカリキュラム上の意図と、同時に、最後なんだからパーッと皆でイベントやって盛り上がっちまえよ!というグルーヴ原理主義的なノリの両方を無理やり詰め込んだ、恒例のミッションなのである。


今年は、大スクリーンによる個人作品の上映と、マルチモニターを使ったグループ映像が交互に展開されるという、やや映像インスタレーション寄りのヒネッた構成で始まりながらも、進行につれて合間に挿入される生身のパフォーマンスの存在感が大きくなっていき、最後は全員が出演して場内を練り歩き、演じ、叫び、カオティックなクライマックスを迎えるという、なかなかにドラマティックな構成演出。


そんな内容もさることながら。このクラス、途中でいわゆる中だるみというか出席の減った時期などもあったり、実は個人的に問題や悩みを抱えた学生もいたりしたんだけど、最終ステージの本日、4月の開始時と同じ22人が再び集合して全員で公演を成し遂げてくれたってところに、何よりも一番じーんときてしまった。予定調和と笑わば笑え。色々あったけど最後は芸術の力に救われるってストーリー(まるでフェリーニ8 1/2』のラストだな)弱いのよ当方。


終演後は軽く講師陣からのコメント、そしてすかさず彼らは撤収作業に入る。当方は再びメディアホールに帰還。残りの演目を見届けてから、再びVAC側に戻って今度は打ち上げに乱入…という、マルチタスクというかてんやわんやな1日であった。


と言いつつも合間には、来校していた盟友アリマ(昨年の「インカレ」オーガナイザーでもある)と久々にゆっくり話もできたりして、いやに充実した1日でもあったのだが。盛り上がりすぎて帰路、危うく終電を逃しそうになったのだけは想定外だったけど…




写真は東京工芸大「[b] Laptop orchestra」
これまた「ラップトップバトル」以上のフィジカル・コンピューティング。ノートパソコンを殴ったりこすったり削ったりして音を出すというベンディング最右翼(本番の演奏、観たかったなー…)