バトる


昨夜から今朝にかけては極秘プロジェクトの音響関連企画書制作。ぎりぎり出かける直前に完成させ、各方面に送付してから大学へ。学校では音響構成論ゼミ今年の最終回。コンサート制作会議が続いているが、もはや当方の出番ほぼなし。会場の手配とか事務的なことぐらい。


その後、いつもより早く大学を後にして六本木へ向かう。例によって大江戸線の異常な地下深さに嘆息しつつ、大量の通勤通学客の皆さんたちと一緒に延々と長大なエスカレータで下り続ける気分はどこか黄泉の国に降りていくそれのような(大げさ)


さて本日の『ラップトップバトル』、会場はスーパーデラックス。MCの女性が終始「それじゃバトッちゃいますかーッ!?」と煽っていたのが面白かった。「バトる」って動詞だったのか…


当方は、かなりキャラの立った他の2名の審査員(どちらも在京外国人)と共に審査にあたりました。観客もかなり国籍バラバラだったので、彼らが英語、当方が日本語で審査結果を発表する役割となった。


全体に音楽的には非常に洗練されていたし、ライヴではなかなか難しいミックス・バランスもきちんとまとまった人が多かったように思う。大学と違って現場では細かい講評などしなかったので「こうすればもっと良かったんじゃね?」的に思ったことを以下にメモしておこう。次に出演する方へのヒントという意味で。

*海外の映像などを観て「超高速でキーやボタンを押しまくるヒップホップDJ並みのジャグリング技」が見られるかと勝手に思っていたが、あまりそういったテクは見られず、シーケンスを走らせながらボリュームとエフェクトをいじる程度のダブ的スタイルが大半だった。バトルという意味では、もっと極端に馬鹿度の高い大技を観たかった。後ろ向きでタイピングするとか、肘や足でマウス操作するとかいった、音楽の本質と全く関係ないスキルを(笑)


*1曲が1アイディアで終わるプレイも多かった。3分という短い時間の中で次々と新しい技を繰り出してほしい。また1ラウンドに2曲プレイできるのだから、同じ曲調ではなくがらりと違うスタイルやアプローチでチャレンジした方が、幅広い音楽性をアピールできて印象が良い。


*演奏者がモニターを見つめすぎ。バトルなんだからもっと観客の方もみて「パフォーマー」としてアピールしてほしい。いっそアサインしたキーも操作も全部暗記しておき、ディスプレイ真っ暗にして全く見ずに演るぐらいの度胸を見せるとか…



*音楽的には意外なほど4つ打ちが多かった。固定したビートを利用しすぎ。ビートそれ自体にもっと変化があっても良かったのでは?


*これは一種の盲点かもしれないが、プレイが完璧すぎると「全てがプログラム済み」に見えてしまう。モタつき、ムラ、変な間とかあった方が逆に「ライヴで演ってる」感は出るので、それをプレイに意識的に取り込むのも面白いかも。


とまあ、後からこういうこと言うのは簡単ですが、演るのはさぞ大変だったことと思います。ただ結果的には最もアグレッシヴな「攻め」のプレイを見せつけてくれたプレイヤーが優勝した事からも、このイベントの性質はわかっていただけるかと。


もちろん音楽に勝ち負けを設けることじたい無意味なので、勝敗もこの企画もあくまで「遊び」ととらえて欲しいと思います。決して敗者が音楽的に「負けた」わけではない事は強調しておきたい。それぐらい、どの競技者も個性的で面白かったのです。自分にとっても良い刺激になりました。こんどラップトップでプレイする時の参考になったし(バトルする気は皆無ですが)