朝の死と夜の快楽

WONO2007-12-07



朝、京王線が人身事故で1時間止まった。


日本の自殺率の高さは今さら書くまでもなく凄い事になっているし、中でも鉄道自殺の多さは、ちょっとどうかと思うほど頻繁に起こる「人身事故による遅れ」が如実に示している。(都内で通勤に鉄道を利用している方なら、これに遭遇したこと一度ならずありますよね?)まあ自殺に関しては当方とてここには書けない様々な経験や事情もあり、単純に否定しようとは思わないけれど。無関係の他人様に迷惑をかけるかたちだけは最低限、避けていただきたいと切に願う。飛び降りで通行人を巻き添えにするとか、飛び込みで駅員に「処理」をさせるとかは、ちょっとね…。


と朝からプチブルー(プチブルではない。なんて注釈してもそもそも『プチブル』なんて言葉を知らない人の方が多いのではないか?)な気分のまま、20分遅れで学校に到着。時間に間に合う事だけが大事な勤務形態であれば「遅延証明書」なんてものを駅でもらえば済むのかもしれないが、コンサートの開始に間に合わなかったミュージシャンが遅延証明書を出したところで「あんたクビ」と言われて終わりであるように、いやそれは極端な例だが、講義というのもライヴの一つであるので、たいへん恐縮する。




夜は渋谷BUNKAMURAにて妻と待ち合わせ。幼児がいるので妻とデートというのもずいぶん久々ではある。オーチャードホール菊地成孔さんのバンド『ぺぺ・トルメント・アスカラール』ライヴ。超満員で年齢層も幅広い。弦楽四重奏コントラバス、ハープ、ピアノ、バンドネオン、2パーカッションにサックスという豪華なオケによる、甘美な音楽。しかしMCだけは新宿ピットインと変わらないノリ(笑)


終演後、楽屋へ。久々の菊地さんにご挨拶(妻の方が親しいのだが)それからこれまた久々なチェロの徳澤青弦くんにも挨拶し、作・編曲を担当の中島ノブユキさんを紹介していただく。どの曲も、弦アレンジが最高にかっこよかった。とりわけ、凡庸なアレンジャーならリピートマークで済ます繰り返し部分を、繰り返しのたびに凝った変奏に仕立て上げる想像力と技術は並大抵のものではない。ユニゾンとコードの使い分けも楽器を知り尽くした者ならではの絶妙なバランス。実は当方、本日いちばん感動したのは演奏以上にこの編曲だったのです(まあ演奏が良いから編曲の良さがわかるとも言えるが)


しかし良いライヴを観ると、自分も演りたくてしょうがなくなっちゃいますね。