映画祭


「高橋国際映画祭」と銘うって多摩美大で毎年行われている、敬愛する年上の友人にして同僚の「周ちゃん」こと高橋”野人”周平さんが主催する「映像論ゼミ」作品発表会が、今年も開催された。


今年は、タイトルが「movie award」とかなんとか無難でクールなものになっちゃってるところが若干気に食わないが(『高橋国際映画祭』の方が全然、馬鹿度高くて良いじゃん!発表会を『映画祭』と強弁する感覚とか、初年度にたまたま留学生が1人入ってただけで『国際』と銘打つセンスとか、そもそも冠にタカハシと固有名をつけるノリとか含めて、ちょっとこれ以上秀逸なタイトルはないのではないか)ゲストコメンテイターを依頼されたので、裏番組として入っていた自分の授業もそこそこに、会場へかけつける。


周平先生いわく「今年はちょっと、こぢんまりとまとまった感じの作品が多くてね…」との事だったが、どうしてどうして。秀作ぞろいではありませんか。今年驚いたのは実は、サウンドトラックにオリジナルの音源が多かったこと。例年の学生作品って、無自覚に既成音源を勝手に使ってるものが非常に多く、せっかくイカした映像なんだけどこれって著作権的に表には出せないよね…みたいな残念賞が多かったんだけど、いよいよ「音も自分でつくる」タイプのクリエイターが増えてきたのではないか。


もちろんツメの甘い作品(編集で半分の長さに切ったら大絶賛なんだけど…とか)なんかも散見されたんだけど、そもそもアウェイ気分で鑑賞の当方にとっては、自分のクラスで課題作品の細かい欠点を講評する感覚とは全然ちがって「なるほどこういう映像もアリか?」みたいな発見の方がはるかに多くて、実に楽しいパーリーでありました。家庭の事情で打上げに参加できなかったのだけが心残り。本当は一つ一つの作品について、作者といろいろ話したかったなあ。