息せききる日


午前はレギュラーの「映像メディア論」講義。


そして午後は毎年恒例「SKDR」こと総合講座デザイン論by高橋「野人」周平さんの授業でゲスト講師。これがすごい大変。超大箱(たぶん多摩美の全授業中で最大キャパ)なので、こういうのはツカミが大事と思い、研究室のPA機材を総動員してとりあえず1曲だけのミニライヴからスタート。このセッティングに大汗をかきました。何せ、ただの講義室にPA運びこんでライヴ空間に作り変えようってんだから。とりあえず、ここのところほとんど弟子状態で機材操作まかせちゃってる学生のセキくんに、今日もエンジニアを依頼。


degital performerから映像を同期して出力し、DVカメラをインタフェイス代わりに使ってプロジェクタへ送る…というシステムで、1人でLIVEとVJの両方こなしてみた。それは良かったが、その後の講義用KEYNOTE映像ヘの切り換えに時間をとられて「妙な間」が空いてしまったのは計算外であった。お代をもらうライヴだったらこういうのは許しがたい失敗なのだが、この授業はノーギャラのボランティア出演なんだから、まぁ…許せ!学生諸君。


で、今回は「グルーヴの科学」と題して、世界初のサンプリング・ループ・ミュージックことシェフェールの『鉄道のエチュード』から『サタデーナイトフィーバー』からパラパラ(荒木師匠〜ッ!)まで、様々な素材を使って「グルーヴとは何か」講義。


昨日のダンスミュージックゼミでも少人数ながらウケてたので、これならと思い持参した『ハレ晴れユカイ』オフ秋葉原バージョンがかなりウケて一安心。


とは言え『ハレ晴れ』も決して単なるウケ狙いネタというわけではない。ディスコミュージックがテクノロジーによってハウスやテクノに写像されていったように、バナナラマ『ヴィーナス』モーニング娘。『LOVEマシーン』に変換されたように、ポップミュージックの歴史はクリシェの継承、抽象化、もっと言えば「圧縮」の歴史であるのだ。


ビリーズ・ブートキャンプにおけるBPMの超高速化が端的に表すように、ポップの、あるいはダンスポップの歴史とは省略・圧縮・高速化の歴史である。アイドルポップの圧縮高速化(現状パフュームの一人勝ち)がアニメ文脈のスピード感とクロスオーバーするとどうなるか?という疑問に、『ハレ晴れユカイ』の映像が(やや過剰にカリカチュアライズされているとは言え)答えてくれているように思うのだ。



そんなアグレッシヴな講義の後は、気分も場所も変えて、情報デザイン学科VACクラスの学生ドキュメンタリー作品上映会に突入。


10分間の作品×10人=100分というかなりヘビーな上映。だが、あらかじめ『ある特定の"他人"を撮る』と限定した課題なので、これが非常に面白いのである。ただ映画を撮れ!なんて課題だと、観る側にとっては心底どうでもいい「自分探し映像」だとか、何を言いたいんだか全くわからない自己満足の「イメージ映像」みたいなヌルいものが出来てくるに決まりきってるので、あえてフレームをはっきり指示するわけであるが、その効果ははっきり出ていた。10人の作品を通して言わば「現在の日本の様々な若者たち」みたいな(ちょっとNHK的かもしれないが)ものが、如実に現れていたように思う。


もちろん終了後は打上げ!こんどゲストにお呼びする大友さんも最近の若い衆は打上げがパッとしないと憤っているけど(笑)当方もその憤りには完全に同感で、コンサートであれ何であれイベントの後で飲み食いして馬鹿言ったりクダまいたり喧嘩したりしない奴らをどうして信用する事ができようか(反語)


その点、我がVACクラスの打上げ馬鹿ぶりはきわめて優良。こ奴らをみてると当方のような年寄りも「まったく最近の若いモンは…………ノリ良いじゃねぇか!」とほめたくなります(笑)いつの世にもグルーヴの良い奴と悪い奴がいる。って、それだけの話かもしれません、結局。