仏旅 最終日

喉が猛烈に痛いのだが、がんばって朝5時に起きて荷づくり。朝食をとる時間もないまま、重いトランクをひきずってホテルから微妙な距離の駅まで歩き、早朝列車で再びパリに向かう。前売チケットの席を探すが、そもそもその番号の車両が存在しない???車掌さんに尋ねると「ああ今日はその車両はないよ。空いてる席に適当に座ってて」という返事。うーんアバウトすぎる。

そして、なぜそういう手配になっているかはオーガナイザーに聞かなければわからないが、今日はパリ到着が昼で、シャルルドゴール空港からの帰国便が夜という中途半端なスケジュール。荷物を抱えていては動きがとれないので、たまたま連絡がとれたパリ滞在中の明和電機専属通訳藤田さんに、荷物預かり所まで案内してもらった。その後、せっかくだからという事で昼食を御一緒し、別れてからポンピドゥー・センターへ。展示を見るわけではないのだが、ここのブック・ストアはメディアアートや映画関係の書籍がけっこう充実しているので、冷やかす。

その後はオペラガルニエ方面まで散策。妻と息子への土産を探すつもりだったが、気づいたら今日は日曜日ではないか。しまった…。デパートぐらいは、と思ったがもちろん全てクローズド。結局あいてる店は一つもなく、歩き回ってるうちに体調もいよいよ最悪な感じになってくる。やれやれ。ちょっと早めに荷物をピックアップし、タクシーで空港に向かう。

しかしこの「ちょっと早め」が良かった。どういう事かわからないが空港への道は大渋滞。ゴダールの『ウィークエンド』のように…。ハイウェイ上で停止したまま一向に動かないタクシーを見限り、他の人々がやっているようにトランク押しながら路側帯をとぼとぼ歩く。空港をめざして。

だが空港もチェックインカウンターは長蛇の列。ふと見るとフランク、マイク、ユーコさんにオレリアンらニームからの帰国組も同じ便で行列してる。みな進まない行列に苛立っている様子。「ヲノさん、今日はひどいよ。僕らももう何時間も並んでるのよ」とマイクはうんざり顔。まあいいさ。平常心平常心。飛行機が飛ばないわけじゃないし。並んでればいつかは乗れるはず…

…と思ってたら、いざ搭乗という段になって今度は「悪天候のため離陸を見合わせております」とのアナウンス。頼むよー。飛んでくれよなー。いいかげん疲れたし帰りたいんだ、こっちは。空港の乾燥した空気でズキズキと痛む喉を、使い残しのコインかき集めて買ったビールで冷やし、ひたすら待つしかない。

ようやく搭乗できたが、成田に帰ってからも預けてたトランクがグッシャリ壊れていたりとか(fragileのシールなんて何の意味もありません)色々あったんだけど、それはまた別の話。

最後はフランクと2人連れとなり、成田エキスプレスで帰京。「疲れたけど楽しかったよな、フランク」「うん。それでヲノさん、実はこれは実現するかわからないんだけど、今度はアジアでちょっとイベントを考えていてね…」まったく、いつでも何か企んでいる男だ。どこまで本当かわからないけど。ま、次もひとつ面白い仕事を頼むぜ!