はつゆめ

気がつけば今日はビル・ヴィオラ『はつゆめ』展の最終日(最近このパターンが多い気が…)。病床の妻を家に残していくのはしのびないが、息子の散歩を兼ねて…と自分に言い訳して午後、ちこっと六本木ヒルズへ。


しかし祭日の森美術館は、いわゆるビデオアートのファンだけでなく「展望台と福山雅治写真展と3点セットで観とくか!」的なお客さん(これは頭の上に『?』を浮かべたまま高速で作品をスルーしていく一団の人々をみて当方が勝手に推測)も多く、かなりの混雑。闇を生かした静謐な展示空間でヴィオラ特有の延々と引き延ばされた時間を贅沢に味わう…なんて事は到底かなうべくもないのであった。


それでも、表裏2面スクリーンを使って下から立ち上る火炎と上から流れ落ちる水流れを同時に映写する『クロッシング』や、多層的に張られた紗膜を透過する映像が蜃気楼のような映像を浮かび上がらせる『ヴェール』のような、DVDなどのパッケージでは味わう事のできない作品を堪能できたのが幸いだった。


とはいえ、暗闇+謎の光源+怪音響という展示環境は、いささか幼児には酷だったようだ。4面スクリーンの静止映像が時おり轟音と共に動き出す『ストッピング・マインド』あたりから、息子は怖がって泣き出しその場から逃げたがるという、YCAM渋谷慶一郎展の時と同じ展開に…(笑)


妙なトラウマになっても困るので、その後は展望台から景色を「ほら、高いよー」などと見物させたり、ミュージアム・ショップのショーケースでボッシュやダリのフィギュアを「ほら、おさかなだよー」などと眺めさせたり(これはこれでトラウマになるか?)息子フォローに徹する。


えーと結論としてはこの展示、小雨降る平日の午前中に1人きりで訪れて、物思いに耽りながらぼんやりと眺めたりなんかするのが良さそう。(もう終わりだけど)