レトロCM

WONO2006-03-26


Golden Era of the 50's (V.A.)


50年代アメリカン・ポップスのコンピレーション。以上。


…では話にならないんで続けると、プラターズとかファッツ・ドミノとかジェリー・リー・ルイスとかリトル・リチャードとかレイ・チャー(以下略)とかがぎっしり詰まっている2枚組CDには全く興味がなくて(後で何か資料には使えるかもしれないけれど)付録のDVD目当てで買ったのです。


付録DVD「CLASSIC COMMERCIALS」は50年代のアメリカCMをこれでもかと2時間弱つめこんだ貴重な映像集。


「煙草と葉巻」「洗剤」「化粧品と薬品」「食品とドリンク」「衣類とアクセサリ−」等々、ジャンルごとにまとめられたCMの数々は、見事なまでに凡庸な代物で、『世界のCM集』的DVDやビデオマガジン『SHOTS』などに収められているような不朽の名作CMも、カンヌ受賞作品のようにニヤリとさせられるウェルメイドなCMも、皆無。


セットに置かれた冷蔵庫の前で女性が延々と冷蔵庫の性能をしゃべり続けるとか。洗剤に浸したシャツが白くなるとか。何やら爽やかげな清涼飲料水を飲んでは野外を駆ける若い男女とか。


いくらなんでももうちょっと工夫できるんじゃないかとツッコみたくなる、いやツッコむ気すら失せるほど類型的な映像が2時間続く。ひたすら「この商品は優れてますよ!」「この商品を買いなさい!」と連呼するだけ。そこが、いい。


画質も異様に悪く、おそらくはブラウン管の前にカメラを据えて直に録画という原始的方法で残されたもののようだ。まさしくビンテージ映像というか反PSE法映像というか(意味不明) 東南アジア某国では映画が公開されると翌日には海賊版DVDが発売されるというけれど(映画館にカメラを持ち込んで“エアー”で録っちゃうらしいですね)そんな50年代盗撮野郎の空気感までも感じさせる、そこが実に、いい。


全てがムービーにキャプチャされてポッド・キャスティングだのワンセグだので配信されるデジタル・アーカイヴ時代に逆行するこんな超アナログ・ローファイ映像文化財(いや待てよ、これこそはアナログ資源のデジタル活用ってことか?広い意味で)もっとないのか? 観たい聴きたい見つけてみたい!