映画って…

高橋周平さん率いる『映像論ゼミ』主催の映画祭に審査員?として招待された。アニメあり実写あり、ドキュメンタリーからファンタジードラマまで多彩な学生作品を十数本観る。


テクニックや完成度で比較すればプロの映像作品にかなうわけがないこのテの学生作品や自主作品で、では何ならプロに勝てるかと言えば、アイディアと情熱に尽きるのではないか。


プロがプロたりうるための「定石」や「常識」を、まだ持ってないがゆえに出てくる野放図なアイディアや、馬鹿馬鹿しさ、ふてぶてしさ、瞬間芸、一点突破的なエネルギー。あるいは、日々の作業をこなすプロには不可能なまで膨大な時間をかけたものとか。早い話が「ここまでやるか!」的なパワーだ。質より量だ。



デジタルビデオによる撮影や、パソコンによるデスクトップ編集の普及によって、とくにアイディアも情熱もなくともとりあえず「映像」はつくれるようになった。しかし「とりあえずつくれたもの」と「映画」の間には、途方もない距離があるのではないか。(そのあたりの事情は、音楽についてもまったく同じことが言えるけれど…)


で、終了後の打ち上げ前に少し時間があいたので、周平さん、そして同じく講評役をつとめた竹熊健太郎さんと、飲み屋で乾杯。学生時代に『サルまん』を読んで「これって史上初のメタ・マンガじゃん!」と驚愕した話をすると「いやマンガでマンガを批評するってのは、実はアニメ創成期のアメリカで既にやってた人がいましてね…」と、とめどなくアニメ話マンガ話があふれてくるあたりが真性オタクの面目躍如!その情報量たるや半端な量ではない。もちろん背中のポーズボタンを押すまでそのシャベリを止めることはできないのである(笑)そうそう、学生作品のほとんどに足りないと思ったのは、このヤバいんじゃない?って思わせるほどのパワー。


結局、本当のプロは偉大なるアマチュアでもあるってことか。(と無理矢理まとめる)