目黒川のマスター

編集の山口さんと2人で目黒東山の『スタジオD』を訪れる。『甘作』付属CDのマスタリングだ。初めて訪れるこのスタジオは、目黒川を真下に見下ろすマンションの1室。


作業の合間にエンジニアの長島さんから「テープメディアの特徴と将来性」だとか「CDRメディアのひ弱さ」だとか「デジタルマスターの弊害」だとか「今どきのインディーズバンド」だとか、いろいろと興味深い話をうかがう。


何をマスターとして持参するべきか?という話になり、とりあえず44.1kHzのCD-Rを持ち込むよりは、48kHzのDATを持ち込む方が、音質的にはベターな選択ではないか(まあ96kHzとかProToolsとか細かいことを言えばきりがないけど…)という意見で一致。


というか「しかし、スタジオでもDATって回さなくなりましたよね」「っていうかDATってものを知らない子もいるんだよね!もはや…」なんて話で盛り上がるあたり、どうやらメディア年齢(←いま考えた造語)はかなり近いとみた。


しきりと「いやあ僕は古い人間なんで…」「アナログな人間なんで…」と謙遜(?)し、音楽における空気感やナマ感の重要性を説く長島さん。しかし、デジタルな音のオペレーションこそは、アナログ指向の人間が扱った方が良いと考えるのが当方だ。いつも言っていることだけど。コンピュータミュージックこそ、アナログ回線を通して丸くにじんだ音に“汚す”方が楽しいじゃん。


なので、こういう方にはいつか、バッキバキのデジタルミュージックをマスタリングしてもらいたいなと思う。