ドリンキング・ライフ


「ドリンキング・ライフ」
ピート・ハミル


大酒飲みが酒をやめる話。


と一言で言ってしまうと身もふたもないので別の言い方をすると、コミック作家をめざした画学生が苦学の末、新聞コラムニストを務め、結局は作家になるまでの自叙伝。悪童が集うブルックリンの路上、夏のコニーアイランド、アーティストの卵たちが集うグリニッジビレッジ……古き良きニューヨークの街の描写がなんともノスタルジックで、本書の本当の主人公は実は酒や酒場よりも、この街そのものなのだなと思わせてくれる。


印象的だったのは、長年大酒を飲み続けた後、体を壊したわけでもないのに自ら人生を変えるため酒を断った著者の「僕は酒に関しては、チャンピオンのまま引退したのさ」という言葉。かっこ良すぎ。