バッド・ドナート

WONO2005-01-13



「A BAD DONATO」 JOAN DONATO (1970)


ブラジル音楽でジョアンと言えば現人神(あらひとがみ)とまで謳われたジョアン・ジルベルトに決まってるわけだが(そう言えば一昨年の来日公演では演奏後半の至芸『居眠り』が伝説となったわけだが、昨年もやったのかな?あの居眠り?)もう1人のジョアンと言えばこの人、ジョアン・ドナートだ。


CD化もされておらず不覚にも知らなかったこの1枚。ブラジル音楽マニアである妻の大推薦で初めて聴いたのだが、35年前の作品とは思えぬ最高にアップ・トゥ・デイトなファンク音響に驚愕。ツイン・ドラムにラテン・パーカッション、ツイン・ギター、そこにホーンやフルートが絡むサウンドの豪華絢爛っぷりは、現代のバンドでたとえるなら、さしずめデートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンといったところか。


編曲者デオダートお得意の金管ニゾンによるオブリガートは砂糖菓子のように甘く、ドナートさんの奏でるギコギコ接触不良系音色のオルガンはゴリゴリに土臭いグルーヴを紡ぎ出す。ドス黒くファンキーな粘っこさとスウィンギーな軽やかさが同居する、まさにステレオフォニックな音世界。しかもそこまで派手にぶち上げておいて各曲あっさり3分ぐらいで終わっちまう引き際の良さがなんとも贅沢。