シャイニング

WONO2007-06-14



今日の映像論はキューブリックの『シャイニング』。


いろんな切り口がある映画だが、今回は「閉鎖空間における狂気のスパイラル」ってことで。緊密な関係を持つ相手と閉鎖空間の中に閉じ込められることで生まれる妄想や狂気が暴力につながっていく…ってこれ、要するに家庭内暴力とかイジメの話じゃないか?と。古いホテルの幽霊とか何とか、実は全て主人公の脳内で作りあげた妄想にすぎなかったのではないか…という、まあ半分冗談みたいな仮説。


ついでにホラー映画の歴史も紹介。古くは『ジキル博士とハイド氏』のような「奇譚」から、『カリガリ博士』のような表現主義ホラー、『ドラキュラ』のようなモンスターホラー、『ナイトオブリビングデッド』のような不条理ホラー、サイコホラー、動物パニック、悪魔教、イタリアン・スプラッターからJホラーまで、いやはやいつの時代も手を変え品を変え人を怖がらせる映画は作り続けられてきたものですなあ。


しかしホラー映画って、年をとるとあまり怖くなくなる。というかピンとこなくなるのは確かだ。子どもの頃は夢に見るほど怖かったのに、今じゃ「あーこの死体はSFX手がこんでるなー」なんて裏を読みすぎてしまう。『シャイニング』観ても、怖いって感覚よりジャック・ニコルソンのエグい表情と演技に爆笑してしまう感覚の方が強い。


これって老化による感性の摩耗?はたまた、人生の中でもっと現実的に怖い事を体験し続けたため、フィクションにリアリティを感じられなくなったってか?そう考えると「ホラーでドキドキできるかどうか」ってのは、精神の若さの一つの指標と言えなくもないかも。