TD開始


目黒ブリックウォールスタジオにてブラックベルベッツのトラックダウン作業開始。当方も子どもをベビーシッターさんに預けて参加。正月の3日間に録った19曲から厳選された14曲を(多いな)仕上げるべし!べし!べし! エンジニアは録りからつきあってくれてるテツくん。何事につけ「良いッスねー」とノリのいい、ユルいキャラが魅力だ。


実のところ「尋常ならざるこだわりがあるのが優れたエンジニア」なんて事は全然なくて、優れたエンジニアほど、どんな馬鹿げた提案やアイディアにも「良いッスねー」とか「んー、じゃ、ま、とりあえずやってみましょ」って感じで、こだわりなく返してくれるものだ、経験上。


まあこれはミュージシャンにも通じる事かもしれないけど、ミュージシャンの場合「いやこれは絶対ゆずれねぇ」と我を張る人も多く、またそういった「我」が必要であったりもするのだが。エンジニアという職種は、どちらかと言えば我を張らずして「我」を通す、スマートなアティテュードが貫けるかどうかで明暗別れるのではないかという気がするなあ。


それはともかく今回のコンセプトは、メンバー田中氏に言わせれば「ナイトクラブのソファで飲んでると、あっち側のステージからバンドさんの演奏が聴こえてくる感じ」な音像なのである。最近の旬であるところの、クラブ(語尾上げ)経由ポップスのサウンドみたいにドライでリアルな音響の断片がペタペタとモザイク状に貼り付けられたデジタルな音じゃなくて、ぐしゃっと丸まってまとまったテキトーにヌルめの音。


だが実際それを実現するのにどう落としこむか。「いっそ全部モノラルで!」なんつー、安田寿之さんのモノラル論に近い意見も飛び出したりしつつ、「あんがい昔のムード音楽って、極端にステレオ定位だったりする」「あんがい昔のムード音楽って、めちゃエコーきいてたりする」なんてデータもあったりしつつ、結果的には「演奏は全部センター定位でグシャッとまとめる。ただしエコー成分はステレオでふくよかに響かせる」という案に落ち着く(あと合唱とか手拍子とかのオプションはステレオに。これは単なる遊び心)。


で、このスタジオ実はCOLDFEETのホームグラウンドだったりするんで、TDの最中に突然、御大ワツシさんが「んー、こんなん参考にならないー?」なんつって例の柔和な笑顔と共に、バートバカラックのライヴ盤だのサムテイラー大全集だのといったよくこんなの持ってんなー的なヴァイナルをひっさげて顔を出してくれたりして。いろんな意味で盛り上がってますんで、これは4月の発売がえらい楽しみです。


ちなみにCOLDFEETとは、実は秋に中国地方某所のフェスでご一緒する事になるのでそちらも楽しみなり(特に打上げが…)