完璧な人間なんていない

WONO2006-12-31



ちょっと前に、ECHO社"AUDIOFIRE2"という新しいオーディオ・インタフェイスを買った。
(今日の話、音響機材に興味のない方はスルーして下さい)


そもそもはプラハのライヴがきっかけ。


いつも使っているMOTU 896、音は実に気に入っているのだがなにせ2Uのラックサイズ。でかい。そしてもちろんチェックインバゲージとして預けたくはない。(航空機では、預けた荷物は常に出てこない可能性があると思ってるので)ってことは、身の回り品を詰めたバッグに加えてさらにこの大荷物1個、チェックイン後の空港内や飛行機内で持ち歩かなければならない。そう考えるとたまらなく憂鬱になる。


この件に限らず、たとえば都内でちょっとしたラップトップのライヴ演るぐらいなら、バッグ1つで行ける程度に身軽になりたいではないか。(いや今のところ別にそういう予定はないのだけれど)。携帯にふさわしい小型ハードを1つ手に入れておこう!と思ったわけだ。


条件は

・ノートパソコンと一緒に手荷物に突っ込んでおける寸法と重さ。
・パソコンとの接続はUSBではなくFIREWIREであること。(音質、速度、安定性を重視するため)
・入力のチャンネル数や仕様にはこだわらない。(再生専用と割り切っているから)
・出力チャンネルは最低4つ。(もちろん多いに越したことはないが)

こんな程度。


さっそく渋谷を歩いて楽器店をひやかしてみたが、選択肢はけっこう多くてそれなりに迷う。
なにしろ、どれも3ー4万円といった手ごろな価格帯なのだ。


M-AUDIO "FireWire SOLO"
M-AUDIO "FireWire Audiophile"
M-AUDIO "FireWire 410"
PRESONUS "INSPIRE 1394"
TC ELECTRONIC "Konnekt 8"
YAMAHA "GO44"
EDIROL "FA-66"
etc...


迷ったあげくAUDIOFIRE2に決めた理由は、単にサイズが最も小さかったから。小型インターフェイスと言っても、他のは微妙にかさばるサイズで、中途半端に荷物になりそうな気がした。


買い物には「後悔したくなければ、何であれ機材を購入する時は最高か最低にせよ」という鉄則がある。たとえば高価な最上位機種を選べば、財布は苦しいが満足感は最上だ。逆にあえて最低価格モデルを選べば、多少の制約はあっても「ま、最低限しかカネは使ってないからな…」と自分に言い訳できる。中途半端に値が張るものを買うと、払った金額にも機能にも不満を感じることになる。今回のチョイスで言えば「高価でスペックが最上のものを、サイズは大きくても買う」か「とにかく安価でサイズが小さいものを、スペックには目をつむって買う」か、しかないというわけだ。であれば、最小型機を選ぶしかないだろう!当初の目的からして。


と、まあ、こんな事をねちねちと考えているから当方の売場滞在時間は長いのであるよ。(その時間を時給に換算するとしたら、安いインターフェイスを買う意味が全然ない気もするが…それは考えない)


それにしても本機は本気で小さいぞ。カセット・ウォークマン2号機ぐらいのサイズだ!(知らないか…)


んで、小さい割にはアルミ削り出しのヘビーデューティな筐体がいかにも丈夫そうだ!


また、4チャンネル仕様とはいえ、3-4トラックはヘッドフォンアウト(ミニステレオジャック)からの出力というので大丈夫か?とも思ったが、仕様を見ると出力スペック的には問題ないようだ。むしろ、そこまでしてダウンサイジングをめざす心意気や良し! というか普通にステレオで出力しておいて、ヘッドフォンアウトはモニター用に使うという手もあるな。


というわけで、脳内議会満場一致で購入とあいなった。



…んが!


意外な落とし穴!


なんとヘッドフォンアウトは、あくまで3-4チャンネル出力のみに固定されっぱなし。つまり、普通だれもが想定する「ステレオ出力と同じ音をヘッドフォンでモニターする」という目的には使えないのである! うーむ不自然!せっかくヘッドフォンアウト専用のボリュームまでついているのに…。


4チャンネルのパラアウトという当初の目的にはとりあえず問題ないんだけど、それ以外の使い方もできる自由度を残しておいてほしかった。できれば出力端子への各チャンネルのアサインをソフトウェア的に選び直せるよう、ドライバのヴァージョン・アップとかで対応してくれると良いんだけどなぁ。それさえできれば、音質も悪くないし、なにせこの小ささだから、ライヴ以外にもラップトップDJとかムービーの再生とか様々な場面で重宝すると思うのだ。


ま、機械も人間と同じだよな。
"Nobody's perfect."
(『お熱いのがお好き』ラストシーンより)