MAD

WONO2006-11-03


海外旅行の帰路、空港での手持ち無沙汰な時間を皆さんどうやって過ごしていますか?


ふつうは、免税店だのスーベニア・ショップだの冷やかして「あ、そうだ会社にお土産。マカデミアナッツチョコにしとくか…」などと散在するか、さもなくば使いきれなかったコインをかき集めてコーヒーショップで一服するとか? 当方は書店をのぞくのが好み。今どき東京でもそこそこの書店に行けば洋書コーナーなんてあるけれども、やはり雰囲気や品揃えが微妙に違うというか。と言ってもそこでコアな専門書を探すというわけもなく、雑誌コーナーを眺める程度だけど。


で、日本で買った事はないのに、こういうシチュエーションでのみ、なぜか買ってしまうのが『MAD MAGAZINE』。ご存知かもしれませんが(上のマスコットキャラクター、みたことありませんか?)50年代から発行され続けているアメリカのパロディ・マンガ雑誌。薄っぺらいけど中身はぎっしり詰まってて異様にボリュームがある。マンガだからわからない単語も想像しながら読める。というわけでフライトのおともに重宝。ちなみに当方はこれを買うとセリフなしの『SPY VS SPY』から読み始める。こんな感じのバカバカしい戦いが延々続くだけのマンガ)そしてこの雑誌、単にマンガとして面白おかしいというよりも、時事風刺ネタが満載なので、アメリカの旬な話題をおしはかる格好の教材でもあるのです。


たとえば先日手に入れた号では、メル・ギブソンがおちょくられていた。彼はちょっと前に飲酒運転で捕まり、その際に警官をののしりユダヤ人差別発言で問題になったりしてたので、さっそくネタにされたわけだ。ここでは『メル・ギブソンの“飲んで一言”』というボードゲームが捏造されています。プレイヤーはルーレット型のゲーム盤中央にはめこまれたギブソンの顔つき矢印(ウィスキー・ボトル型なのが笑える)を回し、止まったところのセリフを言わなければならない、というゲーム。そのセリフは「このマザーファッカー!」とか「何みてんだコラ!」とか「ユダヤ人は世界中の戦争に責任がある!」とか「マリブは俺の庭だ!」とか…


しかしこの雑誌の本領発揮はやはり政治ネタ。ギブソンゲームの次のページには「モノポリー」の「RED STATE」バージョンと「BLUE STATE」バージョンが左右見開きで並ぶ。これはもちろんアメリカ大統領選でいつも話題になる共和党支持地域(RED STATE)と民主党支持地域(BLUE STATE)の色分け地図をもじってるわけ。(ここからはモノポリーを知らない人にはわからないネタになりますが)当然、各コマの地名はそれぞれの支持地域になっている。また、よくみると鉄道会社のコマが、RED STATEでは「ブッシュ1世鉄道」とか「レーガン鉄道」なのが、BLUE STATEの同じ場所だと「J.F.ケネディ鉄道」「クリントン鉄道」になっている。「刑務所へ行く」コマの理由がREDは「マリファナ吸引」でBLUEは「CIA職員の名前をマスコミにもらす」……ってな具合に、両政党のカラーをうまく当てこすってるわけです。


毒吐きまくりのふざけきった絵ヅラにニヤニヤしながら、政治や時事問題のちょっとしたお勉強にもなるこういう雑誌、日本にもあると良いのにな。