アペル第2夜


いや〜、なんとも濃い夜でした。
出演順にかいつまんで報告すると


DJ Peaky
「ぼやきDJ」と名づけたくなる芸風がイイ。小音量でイルなループを流しながら「恥ずかしいっすけど…」「家で練習した時はこんなんじゃなかったんんすけど…」などとぶつぶつボヤく。むしろそのボヤキをもっと聞いていたいと思わせておいて唐突に皿をコスり始めたりする「読めなさ」が味か。


吉田アミ
最初に会ったのは確か彼女がまだ十代の頃、「パリペキンレコード」とか「フロッケ展」とか「UNKNOWN MIX」とか、そういった場であったと思う。そんなノイズ少女(?)にオーガナイズされてソロやレクリプで演奏したりしたのも今は昔。あれから10年以上たった今夜の演奏も、やってる事が基本的には全く変わっていなくて、その「軸のぶれなさ」に感服。もちろんそのうえで、声を発する間合いとかフレーズの多彩さとかの「芸」自体はたいへんエレガントに進化していて、なんというか貫禄すら感じられました。


Moom瑠
フィールドレコーディング的な環境音を含む穏やかなバックトラックに合わせて浮遊感のあるヴォーカルの弾き語り。ある意味今夜の会場空間に最もなじんだ、気持ちの良いサウンド


ヲノサトル
準備中の新譜から3曲の素材を選び、それらを即興素材として生リミックス… 的な発想でプレイしてみました。個人的には、どう演るか迷ってた再来月のプラハ公演への手がかりがつかめた感触。


長沢哲
ベル/シンバル系の金属打楽器を中心とする即興。上降下降とフレーズを周回させながら変化していく円運動のようなトランス感。バリのゴングを思わせる倍音の唸りと余韻に、思いっきりチルっちゃいました。良い打楽器奏者の演奏は「メロディ」を感じさせますなあ。


伊東篤宏
トリはこのお店の設立にもかかわった(ペンキも塗った)という伊東さん。楽器はもちろんオプトロン。ギターの着席演奏のように蛍光管を抱え、フィードバックノイズとパルスで発光体を「弾き」まくる姿は、さしずめ「もしもジミ・ヘンドリックスジェダイの騎士だったら(ドリフのもしもシリーズ)」といった様相。基本的にロック、いやパンクなのですこの人は。休憩時間に、多摩美大の故・秋山邦晴教授とイントナルモーリの秘話を伺いました。


といった盛り沢山な企画。こんな渋い場所のこれだけ小さな店でありながら(来場者はわかると思いますが…)皆さん全く手を抜かない直球ド真ん中の豪速球的な演奏だったのが、素晴らしかったと思います。出演者として、という以上に観客として、楽しませていただきました。今年になってからのおつきあいでしたが、TATTAKAさん儒花さん、お店の運営おつかれさまでした!(そして第3夜の今夜は、あの空間で9組20名が演奏したはず…どうなったのか非常に気になります)