アンパン

WONO2006-08-27


息子の最近のお気に入りは「アンパンマン」である。


少しずつしゃべるようになってきたが言葉はまだまだ明瞭ではない。しかしそんな彼が妙にクリアに発音してみせるのが「アンパンマン」という言葉だ。「子音+an」が3回反復されるその音韻構造が発声にあたって口腔の快楽を喚起するのか? 自らの顔面を他者に食わせるという逆レクター博士的なこの物語のカニバリズム的側面が、人間の本質的エロス/タナトス欲望を刺激するのか?


いやどうやら「単に好きなだけ」のようだ。妻が色がかわいいわよと選んだパジャマの模様がたまたまアンパンマンだったところ、自分の着ているそのパジャマを指差しては「アンパンマン!」「アンパンマン!」と嬉しそうに絶叫して走り回ったりしてるので、あれ?そんなに好きなの?このキャラクター、と気づいたのだ。


「キャラもの」ってのが大嫌いだった当方だが、親の好みを押し付けるのはおかしいよ、子どもが好きなんだからいいじゃない、と言う妻に当方も説得された。というか、子どもが店頭などで目ざとくアンパンマン系の物品を見つけて「アンパンマン!」と叫んだりすると、お、じゃこれ買うか、と率先して購入してたりする自分が怖い…。繰り返すが、当方いまもってキャラクターものってのは大嫌いなのである。以前にも書いたけど!


そんな内心の動揺とは裏腹に、自宅にはアンパンマングッズが増殖し続けている。食卓にはアンパンマンコップに、アンパンマンごはん茶碗に、アンパンマン皿。アンパンマンのホットケーキ型もある。風呂場にはアンパンマンシャワーに、それを入れるアンパンマンメッシュバッグ。砂場遊びにはアンパンマンスコップ。寝るときはアンパンマン人形を抱きしめて。アンパンマンパン工場セット。アンパンマンお絵描きセット。アンパンマンアンパンマンアンパンマンアンパンマンわははははははは。


………いかんいかんいかん落ち着け落ち着け。えーと気分転換にネットサーフィン(死語)でも……とパソコンを検索して、新宿にあるアンパンマンショップを発見し「こんど行ってみるか…」とつぶやいているそんな自分がいとおしい。(嘘)