新聞紙とコンパ

本日の「音響構成論」は音を全く出さない。


のっけから新聞紙を配り、制限時間30分程度で切り紙コラージュの課題。ちなみに当方の持っている他のクラスも今のところ、「VAC(映像音響創造)」では映像も音響も全く扱っていないし、「演奏論」では楽器はもちろん演奏らしきことも全くさせていない。じらし作戦というか、牛歩戦術というか(←誤用)


音楽なんてものぁアナタ、音を出す前に9割がた勝負はついてるんですぜ、とスゴむ気はないけれど、音楽家の資質とは、どれだけ素敵な音をイメージできるかに尽きる。そのイメージを具現化するスキルを学ぶことが音楽の学習なのではなくて(そもそもそんなスキルは必要があれば独学でだって身につけられるだろう)耳には入ってるはずなのに意識化されていない音をきちんと「聴く」とか、いまだどこにも鳴っていない誰も聴いたことのない音を明確に「思い浮かべる」とか、要するに自分の脳を音楽用にカスタマイズしたり、最適化したりすることが、音楽の学習なのではないか。


だいいち今日び「音を出す」ことぐらい、パソコンやシンセの1台も買えば誰だって即座にできてしまう。自力でオリジナルな音楽をつくりたいと思う人間なら、四苦八苦してマニュアルを解読し無理やり自己流で使い方をおぼえてしまうぐらいの根性はあるだろうし、その程度のエネルギーもないやつにオリジナルな音楽など作れるものか(偏見)。だから音の出し方、組み立て方、録音の仕方とか、そういった実用的な技術など教える必要はない(と言いつつ必要最小限はやっぱり教えますけど)。


そんなわけで紙1枚のコラージュ・アートなのだが、これがめっぽう面白い。さすがは美大! 笑える時事ネタで勝負するもの、平面構成美を追求するもの、文字に着目したタイポグラフィもの、色彩もの、形態もの、抽象もの数字ものデジタルもの… 個性豊かな作品がたったの30分で出現。それぞれ作者に意図を語ってもらいながら、皆で意見の交換。


ひとしきり盛り上がったのだが、実はこれ、サンプリング・ミュージック制作への布石なのだ。来週はそれぞれ「このビジュアル作品へのサウンドトラック」という解釈で、1分間のサンプリング・ミュージック作品を制作してくるのが宿題。素材は、既に皆に採集させてある様々な音響の断片。さてどんな作品が集まることか、楽しみ楽しみ。


で夜は、学生が企画したこのゼミの顔あわせコンパ。どうでもいいけど大学の近くの「安くて大人数が入れて使い勝手の良い」居酒屋ってだいたい限られてくるので、幹事に店の名前を告げられても「ああ、 また あそこね…」と答えざるをえない自分が哀しい(もちろん会場は十中八九、学生向けのチェーン居酒屋)今後の幹事は「へぇ!そんなところがあるんだぁ!」と当方の好奇心を刺激するような会場をぜひセッティングしていただきたいものである。 ただし安い店でな


ところで「合コン」って言葉は知っててもそれが「合同コンパ」の略であることを知らない学生がいるのには驚く。何の略だと? 合混? 合献? 合魂……?

(っていうかコンパって何語だ?)