ブルーバック


ひさびさに明和電機の仕事で某テレビ局の某番組に出演。当方の出番は2曲演奏するだけで正味5分もないが、準備のために午前中からスタジオ入りとなる。


現場に入ると、おっいるいる。新人、中堅工員、古参工員に工員OB、そして画面に映らなくても常に制服着用の心意気や良し!であるマネージャーの田井地……「明和ブルー」色の制服軍団が黙々と作業にいそしむ姿はいつみても良いものだ。よしよし。働け!働け!(と高見の見物で午後の紅茶飲みながら設営が終わるのを待つ俺は何様のつもりか)がらんと広くて薄暗いスタジオに謎の機械群を設置調整し続ける工員たちの姿は、インディ・ジョーンズの「ナチス秘密基地に働く兵隊たち」とか、007シリーズの敵アジト(ドクター・ノオの島とか火山くり抜いて作ったロケット基地とか)に働く技術者たちとか、ああいうイメージ。ジェームズ・ボンドの仕掛けた爆薬でドカーン!うわーっなんつって、まとめてあっさり吹き飛ばされる系の。


そんなことはどうでもいいが。途中で止めるわけにはいかないライヴ・パフォーマンスとは違って(いや明和の場合は止めてやり直したこともけっこうあるか。機械の故障で)録画ならやり直しもできるし、気楽なもんだ。と思いきや、TV番組の収録というのは、シーンごとに多少の間があくぐらいで、基本的には画の流れ通りに進められるため、結局ライヴと同じ一発勝負なんです。


演ってみたら「あ、マリンカ(楽器)の鳴りが悪い!」とか「鍵盤ミスタッチした!」とか「髪型ダサすぎた!」とか失敗はあるが(髪型は関係ないけど)それを理由に「すみませーん、もう1テイクやらせてください」なんて要求する根性も度胸もないので、ま、いいか、1ぺん放送されて終わりだしな、と忘却に努めることに。そのうち何かの拍子にオンエアをご覧になる方は、くれぐれもアラ探しなどせず(もちろん録画などもってのほか)台所仕事でもしながら横目でテキトーに眺めて、見終わったら忘れて下さいますよう。


あとは土佐社長がトーク出演してるところを見物。この番組、実はバーチャル・セットというか、何もない空間でトークする出演者にCGで作った背景を合成するのだが、そういう場合に使われるのは有名な「ブルー・バック」でありまして、青一色の背景を使い、その色だけコンピュータで抜き取って別の背景画面にさしかえる、という技術。しかし明和電機の場合、制服がまさにブルーバック色なので、そのままだと首から上と手足の先だけが浮かぶホラーな絵ヅラになるんですね。まあ社長は私服(黒スーツ)に着替えてたので、そういった放送事故のような事態には至らず。個人的にはそういった事態に至ってほしかった気もしますけどね。面白いから。単に。