ディナーショウ

と銘打って開催された今夜のギグは、もちろんいつも通りのブラックベルベッツ定例不定期ライヴ@トラウマリス六本木芋洗坂だったわけだが、ま、例によっての店内の狭さはともかくディナーの本格っぷりが半端じゃなかったあたりに店主の矜持が感じられた素敵な夜であったのは確か。これは妻にも食べさせねば!と、シェフに無理言ってオードブルもメインもタッパーに入れてもらい、お土産に持ち帰らせてもらいました。


というわけでトラウマリスって店は、狭さゆえの無礼講な世界観(世界観?)によって、メンバー全員たいへん気楽に演れる場所、いわば我々のアジトとなっているわけで、新曲はだいたいこの店でおひろめするパターンが定着している。


おひろめって言うか、サウンドチェックの時に「はい今日はこの曲もってきたよ」と当方が譜面を配り、1、2回チャチャッと構成をおさらいしたら「ほんじゃ、あとはよろしく!」とほとんどぶっつけ本番に近いスリリングな味を楽しむのである。毎度おなじみのレパートリーだけやってるとどうしても演奏が弛緩しちまうので、スパイスとしてこうした新曲を演るのが、この店での流儀。


そういえば今日は新聞で、ナマコを生きたまま輸送する時は天敵のカニを一緒に入れておくと緊張してフレッシュなまま届く、という話を読んだ。なるほど。つまり「ぶっつけな新曲」が、このバンドにとってのカニってことだ。何を言っているのだ俺は。


で、今日のカニはなんと「ルビーの指環」(笑)


これまでも「別れても好きな人」とか「うる星やつら」とかのベタな国産選曲で限定された年齢層にアピールしてきた我々であるが、さすがにこの曲はお客さんにとって、かなりのリトマス試験紙になるのではないか。っていうか知らないよフツー。


しかし「ジャジャッ!」とかキメフレーズ多発の曲なので、メンバー全員いつになく譜面にめっちゃ釘付けの演奏。まさにカニを前にしたナマコというかマングースを前にしたコブラというか!


初ステージのギャラでおそろいの譜面台を作っておいてよかったと思うのはこういう晩だったりする。「釘付けに なればなるほど 目立つ譜面台 (字余り)」ま、初ステージのギャラでおそろいの譜面台を作るバンドというのもどうかとは思うが……