音を視る、時を聴く


というのはアーリー80'sに出版された「音を視る・時を聴く 哲学講義」からのパクリ…引用ですが。この本を含む"LECTURE BOOKS"って全集は、河合隼雄谷川俊太郎ユング心理学を語り合うとか、岸田秀伊丹十三精神分析を語り合うとかいった案配で、ニューアカ・ブームにかぶれて手っ取り早く読める気さくな現代思想本に弱かった当方のハートをわしづかみにしてくれた秀逸なシリーズだった。「音を聴くとき、その音はどこで鳴っているのか」…脳内なのか?それとも頭の外のある一点なのか?…といった認識論的な問題を語り合っていて、実は「音響系」にまで射程が届く議論は、今こそ再読されるべきかも。


などという思い出フラッシュバックはともかく。


今日の収穫はメルセデスのTVコマーシャル。なんと商品である車が全く出てこない!(などと文章構成上は驚いてみせてるけど、誰もが知っている一流メーカーほど製品をあえて画面に出さない『大人なCM』が多いのは、海外CMをたくさん観ている方ならおわかりですよね)。


主役は「音」だ。「Sound of Summer 編」と銘打たれているだけあって、車が走り出して、景色の中で遭遇するサウンドスケープ(音風景)そのものがテーマになっている。音響をコンピュータでいじったりする人ならご存知の「波形」映像から始まるのだが……そこからの展開に唸らされました。ちょっと見、わからないところがいいねー。というわけでコレ観てみて下さい。


CMサイト「ADFORUM」より


□ 追記
後から気づいたけど、しかもこの商品コンバーチブルなんだね。オープンカーだから当然、外の音がずーっと聞こえっぱなしというのがそもそものアイディア、ただの思いつきじゃないわけね!!!


□ さらに追記
このCM,今年のカンヌ国際広告祭で賞とりました