MTVの時代

WONO2007-09-21



「映像メディア論」では映像とサウンドについてのネタを続ける。今日はMTVの歴史。


80年代には「ナウ」の記号的象徴であったMTV。カフェバーのモニターTVから流れていた、あのMTV。とはいえ個人史的には、リアルタイムに観てた『ベストヒットUSA』(MC小林克也!)こそが「日本におけるMTV」だったりする。さらには「USA」と言いつつも、デュランデュラン、カルチャークラブ、カジャグーグー(しかしなんというチャラいバンド名だ)スパンダー・バレー、デビッド・ボウイとか…グッときたのって今にして思えば、ほとんど英国産だったりするのだな。まさしくブリティッシュ・インヴェイジョン


MTVというチャンネルがそもそもワーナーとアメックスの出資で作られた(つまり娯楽と金融!)というのは、いかにも象徴的な話だ。極限までビジュアル化し、ダンス化し、ボーダレス化し、グローバル化アメリカ化)し、不動産化し、キャラクタービジネス化していった20世紀末のポピュラー音楽「進化論」については、話せばいくらでもネタは続くわけだけれども、今日は理屈よりもとにかくガンガン映像を見せる方向で進める。(「今日は」というか、毎回そういうスタイルの講義なわけだけれども)


しかしCARSとかユーリズミックスあたりの80年代MV、今みるとクロマキー合成がものすごく「ビデオっぽい」味で、泣ける。まあ学生には下手すると生まれる前の作品だったりするので、単に古くさい画ヅラにしか見えないかもしれないが。デジタル以降の作品、たとえばエイフェックスとかビョークのCG映像と比べると、まさに隔世の感がある。


そんな中でも、マドンナの『ヴォーグ』とかジャネット・ジャクソンの『リズム・ネーション』とかマイケルの『スリラー』といった、手間ヒマかけて人力で作り上げた世界だけは時代がたっても全然古びない気がしますね。単に当方の趣味かもしれないけど。とりあえずここんとこ毎年、教員の特権ふりかざして大ホールで爆音で流しては脳内でヨダレ垂らしながら教卓に隠れた下半身だけで踊り狂ってます。