モーグは死なず

「キーボードマガジン」誌からモーグ博士追悼特集に原稿を依頼された.


そもそもシンセサイザーは3種類に分類できる.「アナログ・シンセ」と「デジタル・シンセ」と「モーグ・シンセ」だ.…というのは今おもいついた下手な冗談.しかし案外,本気でこう思っている人がいるのではないかと思われるほど「キャラの濃い楽器」であるのは確かだ.プロアマ問わず「モーグ・マニア」「モーグおたく」な人はいくらでもいる.今回の特集も,日本中のそういったエンスーの方々が集結して,モーグ伝説を語り明かすに違いない.


そんな濃ゆい場で「ミニモーグ名盤12枚」をセレクトして解説するのが今回のミッション.実機を所有もしていない当方がこの楽器について書くってのは,これはもう運転免許も持っていない人間がアルフィスタの集いにのこのこしゃしゃり出てアルフェッタがどうのスパイダーがどうのと語るのにも等しいのではないか?と言う気がして恐ろしい限りである.


まあこういう場合,何を選んだところで「なんでこの名盤が入らないんだ!」とお叱りを受けること必至.ここは,個人的に入れたいゲイリー・ニューマンとかジョルジョ・モロダーとかはスルーしてでも,リック・ウェイクマンキース・エマーソンを入れないわけにはいかないだろう.また,当方好みのペリー&キングスレーなど60年代のいわゆるモンド系,馬鹿モーグ,エロ・モーグ,脱力モーグものについては,実は時代的にモジュラー式モーグを使用しているものが大半なので,涙をのんで割愛させていただくしかない.当然,W.カルロスだの富田勳大先生だのといった超大御所もあえて扱えず.あくまで「ミニ」モーグに絞ってセレクトします.さて結果は?