HANA-GE

WONO2005-04-06



鼻毛が大変なことになっている。


誰にでも生えているが誰もがそんなの生えてないもんねって顔して隠蔽しているヘアー、それが鼻毛。その危うさは陰毛の費ではない。偉そうに講釈たれても鼻毛が1本出てただけで「〜 終了 〜」って感じ。何の説得力もない。理不尽な戦争への怒りを叫ぼうと、ダライラマと宗教について語ろうと、「別れの切符を持っているのは女性の方だから…((c)石田純一)」と寂しげに笑おうと、鼻毛が全てをだいなしにする。


ふと当方の顔を見て「うわー、鼻毛が!!!!!」と驚愕する妻。


あわてて鏡を見るとびっしり密生するそれ(イメージキャラクター:バカボンのパパ)。あわてて妻にせがみ、切ってもらう。いつからそこにあるのかいつの間に成長したのか。排気ガスで一杯の東京の空気への、身体のささやかな抵抗なのかこれは。中に数本の白毛が混じっているのがことさらマヌケな印象を煽る。


(しかし外国人、特に欧米の方はなぜか案外、鼻毛には寛容なようで、彫りの深い二枚目なのに鼻毛だけはびっしりと伸びてる人、なんてのがよくいるが、あれはやはり体毛の色が薄いから肌色となじんであまり気にならないのだろうか。だったら鼻毛もぜんぶ白毛になったら気にならないのか?)


一人暮らしでなくて良かったと心底思うのは、たとえばこんな時である。


一日平均たぶん3分程度しか鏡を見ない当方。一人だったら唇に届くぐらい伸びるまで気がつかないという事も多いにあり得る。指摘されなければ自分がそこに立っていると気づかないまま奈落の淵へと刻一刻、自動的に運ばれていく不条理。日に日に伸びる鼻毛とはそういうことだ。現代の悲劇、鼻毛。


調べていたら、こんなサイトを発見した。(鼻毛が伸びている事よりも、鼻毛について調べていることの方が、さらにマヌケな気がしないでもないが)


「鼻毛のごまかし方」


まさに待ち望んだ講座である。ここに紹介されている様々な「ごまかし方」の中で、当方は「長い髪の毛を垂らして隠すカモフラージュ法」というのが気に入った。これこそ鼻毛業界におけるコペルニクス的転換ではないか! 「木を隠すなら森へ」か!


そう言えばエドガー・アラン・ポーの小説「盗まれた手紙」には、いかにもそれらしい場所に隠す事をしなかったがゆえに警察には見つける事のできなかった手紙、という主題が出てくる。どんな事であれ、シンプルな方法ほど意外に効果的だったりするのは皆さん経験からご存知のはず。


という意味では、ここに書かれた鼻毛のごまかし方以外にも、たとえば猿人のように顔じゅうに剛毛を生やして鼻毛を目立たなくする方法なんてのも良いのではないか? (ん? 待てよ、ヒゲを伸ばせば良いだけのことか…?)